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奈良のアラカルト=ナラカルトは奈良の観察記録です。

安倍文殊院/快慶の渡海文殊群像。特別史跡の西古墳。創造することのなんたるかを学ぶ。

奈良博物館の快慶展では巨大な写真でしか拝見できない渡海文殊群像。じっさいに拝見するには安倍文殊院まで出向くしかありません。

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快慶の天才ぶりがほとばしっていました。鎌倉時代東大寺が再建される前の造立です。渡海文殊の清然とした顔つき、善財童子のすこし滑稽な佇まい、台座となっている獅子の表情など瞠目に値するものです。

いまは現代的な本堂におわします。いろいろな解釈があるのは仕方ないとしても、できれば昔ながらの本堂で拝見したかった。

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本堂の脇に西古墳があります。安倍仲麻呂安倍晴明の祖先である墓と推定されています。築造技術の見事さ、石の様の美しさ。はじめは現代の技術で造り直したものだと勘違いしたほどでした。天井席は一枚岩で奥行5メートル幅3メートルの大きさ。しかも中央を削ってアーチ形にしています。こんなこと現代でも難工事になるはず。ただ喫驚するばかりです。

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陰陽師安倍晴明が天文観測した展望台からは二上山耳成山が眼下に見えます。平安の都はここで培われた占いの技術によって造成されたのかも知れません。葛城山大和三山の1000年前と同じ風景には感慨深いものがあります。

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唐招提寺/律する。鑑真はこの一言のために東の小さな国に渡ってきた。筆舌に尽くせぬ苦難。ついには盲目となる。

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整然と天平の伽藍が並んでいます。ことさらになにかを主張するわけでもなく、とりたててなにかを押しつけることもない。にもかかわらず、どこか凛としています。律するとはこういうことかと感服の至りです。

金堂におわす三体の仏像は穏やかな表情を見せながらも屹然としています。

なかでも驚くべきは千手観音さま。1200年の間に少し失ったものもあるようですが、どうやら文字通り千本の手をもっていらしたとか。これは希有なこと。一本一本に優雅さもあれば厳格さもある。ただただ前に立ち尽くして見入ってしまいます。

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開山堂の脇に小さなドングリの木が一本。なんの変哲もない姿ですが、春の一週間だけみごとな若々しい新芽をつけます。よくよく見るとなんともいえず清らか。

水楢の柔き嫩葉はみ眼にして 花よりもなほや白う匂はむ」と北原白秋は詠みました。嫩葉(わかば)とは若葉になりきる前の新芽のことです。

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あちこちに春の花が咲き、そこここで小鳥が囀っています。

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林神社/饅頭のルーツがここに。奈良が饅頭発祥の地であったとは驚きでした。

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700年近く前のこと。中国の青年が修行を終えた日本の僧についてやってきました。身の回りを世話していたその男の名は林淨因。ややあって饅頭を作りはじめました。評判が立ち、いちやく名が知れわたったそうです。林神社の由縁がここにあります。

往時の寺院ではサロンのような集まりがあったそうですが、仏教の場であるがゆえに肉まんのようなものは御法度でした。そこで林さん、肉の代わりに甘く煮た小豆、つまり餡をつかうアイデアを思い立ちました。

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誰しもがそのおいしさに驚愕。噂はまたたく間に広がり、ついには天皇へ献上することに。膝を打った天皇は褒美に独身の林さんにお嫁さんを下賜されたとか。喜びいさんだ林さん、紅白の饅頭を作ってみんなに配りました。これもまた初めてのこと。その紅白饅頭、記念に石の下に埋めたそうです。林神社にある饅頭塚といわれるものがそれです。

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海龍王寺/堂内に五重塔のひながたが鎮座する。まるごとの天平の遺構。創建当時からここを動かないでいる。

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天平という時代、仏像ばかりではなく、建築文化も爛熟していました。西金堂に据え置かれている模型の五重塔天平時代からのもので、細部にわたって知恵と熱情を傾けた痕跡があります。

堂内を見わたせば、西金堂そのものも天平の構造様式を見せてくれます。頑強さと優美さが一体となっています。1300年のあいだに、建築家のみならず、さまざまな文化人が引きつけられるようにして訪れたことでしょう。

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空海は唐に渡る前に海龍王寺にて無事を祈願したそうです。空海は唐より土木技術をはじめ多くの知識を持ち帰りましたが、心の隅にはいつも海龍王寺の存在があったことでしょう。様式、きわめて精巧。天平のたましいに触れるようです。

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奈良公園の桜/とくとご覧あれ。ちらほらと花やかにあちこちにひらひらと。

奈良の桜といえば真っ先に吉野を思い浮かべるかも知れませんが、どっこい、奈良公園もなかなかのものです。派手さよりも艶やかさ。量感よりも質感。寺院の門前や池の端の桜はうっとりとした表情を見せています。

ならまちから奈良公園へ。その道すがら、途切れることなく咲いています。なかでも山桜の可憐さとくれば、それはもう格別。いくつも種類があって、その花のシルクの風合い、その葉の幸せの色合い、なんともいえず見とれてしまいます。

春たけなわ。若草山もふわっと膨らんでいます。

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新薬師寺/修二会  尾を引いて猛る炎やお松明

歴史的に東大寺と深い関わりがある新薬師寺ですが、お水取りの修二会とはおもむきが違っていました。僧侶や童子の顔つきまではっきりと分かる距離にあって薬師悔過法要は営まれます。

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夕闇迫る頃、声明が聞こえてきます。読経が音楽のようです。

インドが発祥のようですが、日本では東大寺大仏開眼法要の時にはじめて声明が執りおこなわれたとか。となれば1300年の伝統の声明です。

内陣が音によって荘厳されていきます。

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お松明の支度がはじまるといやが上にも気分は高まっていきます。

闇が深くなるほどに炎が人びとを引きつけていきます。

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煩悩は燃えつきるか。

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稗田環濠集落/群雄割拠の戦国時代がタイムスリップしている。意表を突く存在。痛快なほどです。

大和郡山の東。長閑な田園地帯に大きな環濠を巡らした集落があります。土壁や石垣の代わりに濠を用いて外敵の攻撃から集落を守ったのです。灌漑用水としての働きもあったようです。水面に映る空はすがすがしいものですが、激しく争いあった人間の愚かさも湛えているようで複雑な気持ちも浮かんできます。

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いまこのときに中世そのものが残っている不可思議さ。

路地に迷い込んで小さくなった天を見上げ、どこからともなく吹いてくる風の音を耳にしていると、いつの時代に生きているのか判らなくなりそうな気分です。

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奈良にはいくつかの環濠集落が残っていますが、稗田の集落は規模も大きく、ほぼ完全な濠を残しています。稗田阿礼を祀っている古くからの神社もあり、一帯には現代が忘れてしまったゆったりした表情があります。

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