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奈良のアラカルト=ナラカルトは奈良の観察記録です。

奈良公園〜山辺 茶色の点景/ドライになった草木が初夏の風に揺れています。新緑の中のほほ笑ましいフォルムです。

夏日の風景の中に去年の草木が美しいフォルムを見せています。瑞々しい緑の中に乾燥しきった茶色。かえって目立つ存在となりました。自然の織りなすオブジェとでも言いたくなるような存在です。人間の手ではなかなかこうはいかない。枯れ果てているのに、な…

奈良公園 初夏の息吹/赤や黄の小さな実がちらほら。眩しいほどの新緑の季節になりました。

透明感のある強い日差しが射してきました。ときどき冷たい空気が混じっていますが夏の到来を予感させます。今年の子鹿誕生のニュースも流れてきました。原生林から渡ってくる風もつややか。目にもこころにも鮮やかな季節です。 なにかを言うのも野暮なほど。…

モノクロームの奈良公園/このごろ奈良町から春日大社辺りにかけてしっとりとした光景が広がります。詩的な雰囲気にうっとり。

雨もよいの日、奈良町とその周縁の公園は色彩がくすんでいるのになぜか鮮やかな感じです。墨の線で書いたような枝ぶりも楽しく、モノクロームの世界はしっとりとして洒落た光景を見せてくれます。落ち着き払った自然と古い町並み。どこか詩的な気分があり見…

原生林の初夏/そよ風と、淡い光と、匂い立つばかりの美しい木々。市街地のすぐ脇にある神聖な森です。

春日大社の周縁はほとんど原生林です。人の手が入らない神聖な地域だったからこそ森は守られてきました。いまもって立ち入り禁止の地域がありますがこの続きの森こそ原生林。初夏ともなれば爽やかな風と光で迎え入れてくれます。市街地からのんびりと歩いて…

東大寺の春/幾種類もの桜で境内一円を荘厳。すこぶる評判のおかっぱしだれ桜は正倉院の前で咲いています。

すでに散ってしまった桜、今こそが満開の桜、これから咲こうとする桜、東大寺にはさまざま種類の桜が咲き誇り、長きにわたって春を楽しませてくれます。なかでも名物のような存在のおかっぱしだれ桜は可憐な蕾もつけて今が盛り。不思議な形をしていますが鹿…

奈良町周縁 桜/満開になってもひっそりと。花の華やぎがいっそう引き立っています。

花見といえば桜ですが、どこに行っても人の多さにうんざりしてしまいます。ところが奈良町の桜となると静かに佇んでいる木をいたるところで観ることができます。そよ風でも吹けばひらひらと花びらが舞い、日の光を受けた透明感のある白さとともにいっそうの…

十輪院 石の魅力/空海もゆかりの深い寺院。奈良時代からの石造仏が境内のあちこちに点在しています。

奈良時代は言うに及ばず鎌倉時代以降の石造仏が目を引きます。大きさもさまざまで菩薩像や不動明王などの仏像ばかりか、中世から流行り始めた地蔵信仰のためのお地蔵さんが出迎えてくれます。梵字だけを彫った石柱や曼荼羅を描いたといわれる石もあります。…

奈良町 風光る春/木の芽があっという間に伸び広がり、春の花が晴れがましく風に揺れています。

色味の少なかった冬の季節が一気に暖かい色に包まれています。春風が吹くたびに色とりどりの花が咲いていくようです。奈良の特徴的な花と言えば馬酔木(あせび)です。なんでもむしゃむしゃ食べてしまう鹿さえこの馬酔木だけはかじりません。もちろん猪や兎…

山辺の道 春を歩く 3/ひょっとすると縄文時代からあったのではないかと思わせる山道がくねくねと続きます。

記紀によると飛鳥時代にこの道はあったと記されていますが、言い伝えによると奈良盆地がまだ沼地だった頃にもその周縁の小道として存在していたようです。となれば数千年にもさかのぼる時間がこの道を歩いていたのです。柔らかな風の吹くのどかな春になりま…

山辺の道 春を歩く 2/春の野を渡る風はまだ冷たいといいながらも歩くにはもってこいの季節。暑くもなく寒くもなく。

摘み草の季節となり、桃の節句にかかせない柔らかな桃の赤とヨモギの緑が目に鮮やかです。どちらも女の子のための飾りとおやつにふさわしい。ヨモギの若葉はいたるところで風にそよいでいます。草餅となり小腹を満たしてくれ・・・いやいや、春の歓びに満ち…

山辺の道 春を歩く 1/奈良の古い道となればどこを向いても古代の気配が色濃く残っています。昔日のよすがはいずこにも。

ちょっと見には静かな田園風景ですが、いたるところに大小の古墳があって、その脇を通り過ぎるごとに古代の景勝がしのばれます。小さなものは直径一メートルほど。大きなものになると、なんと言えばいいのか、とにもかくにも巨大です。さまざまな種類の鳥が…

奈良町 春にほほえむ/柔らかい風 優しい日差し 梅のふくいくたる香りが漂いはじめました。

日本人は古代の昔から舶来のものをとても愛でていました。まだ独自の豊かな文化を持っていない頃ですから、その頃の先進国である中国の趣味に惹きつけられていました。文学も、絵画も、中国の真似をしていましたから、唐の文人たちが梅を肴に一杯やっている…

奈良公園 早春を歩く/萌えでる春にほど遠くても立春を過ぎれば目に暖かい風景が広がります。

寒々とした冬の枯れた色の間にいつとはなく暖かい色が増えてきました。春霞の中に遠くの連山が浮いているようで景色が柔らかくなりました。春とはいいながら、いまだに北風の冷たい日もありますが、目に映る梅や水仙の花が気持ちを軽くしてくれます。 春寒の…

東大寺から飛火野へ 朝に歩く/夜の気配もほんの少し。古代の人と同じ景色の中にいるような感じがしてきます。

奈良でもっとも贅沢な時間は明け方。とても寒い季節ですが冬だからこそ透きとおった風景が広がります。ほんの短い時間でも心の奥深くまで染みてきます。東の空がうっすら青みを帯びてきて、やがてほんのり赤い色が混じってきます。美しいということばさえ忘…

奈良 鳥と歩く/鳥たちのパフォーマンス、なんとも楽しく。冬ならではの澄みとおった囀り、なんとも心地よく。

奈良公園の周りには原生林。神社仏閣の境内にはこんもりとした森。そして自然林を有するいくつもの古墳群。数え切れないほどのため池と大和川とその支流。豊かな植生が連なります。これはもう鳥たちの天国です。冬の渡り鳥も、夏のツバメたちも、ひっきりな…

奈良町 猫の町/奈良の旧市街は「にゃらまち」と言われるほど猫の多い町です。ニャンで、かな?!

奈良町は古い町並みだけに、小さな祠から世界遺産の寺院までそこここに信仰の場が点在しています。そこは生き物を殺生しない空間です。そんなこともあって古くからどこの寺院や神社にも猫が住みついていたのでしょう。いまなお境内のあちこちで遊ぶ姿を目に…

東大寺 端を歩く/境内の北には塔頭。末寺というべきか、子院というべきか。往時を偲ばせる土塀が連なっています。

二月堂の裏参道を降りてくると塔頭が続きます。どこも上品で、どこかしら瀟洒な感じがします。いまでは僧侶の家族住宅にもなっていますが、本来は先人の住職亡き後、その遺徳を慕って側に寄りそってくらすというものでした。1300年の間にありさまは変容…

奈良町 松の内/門前に掛かる正月の松飾り。きりりとして清々しく。鹿の鳴き声も新春を言祝いでいるようです。

東大寺や春日大社には引きも切らず押し寄せてくる参拝客でごった返していましたが、そんなときでも奈良町はひっそりとしていて昔ながらの家族中心の正月があるようでした。ふだんの観光客はどこへやら。ここに暮らす住人たちが自分たちの町を取り戻し落ち着…

鹿 とっておきの隠し芸/いたるところ景観が美しいのは鹿のおかげです、と言いたくなるほどです。

芝を刈り取るように草という草はほとんどを食べ尽くしてしまいます。ときどき奈良町にもやってきて植木鉢の葉っぱも食べてしまいますが・・・。よく見ると地面から2メートル程度がすっかり切り取られています。つまり鹿の届く背伸びの範囲が食べ尽くされて…

東大寺 元旦/東の空が白み始める頃。大仏殿の輪郭が浮かび上がり、金色の鴟尾がひときわ輝きを増します。めでたし、めでたし。

いまから約千年さかのぼること、平家によって大仏殿は無残にも火を放たれてしまいました。大仏さまも焼けただれ長い間風雨にさらされていました。江戸時代にようやくと再建されますが規模はぐっと小さくなり三分の二まで縮小されてしまいます。それでもこの…

興福寺 中金堂/301年ぶりに再建。20年かけて完成しました。東大寺大仏殿に次ぐ大きさです。

710年頃に創建されましたが戦災や火事で7回も焼失した中金堂。アフリカからケヤキ、カナダからヒノキを輸入して資材としたそうです。大きな柱は日本から調達することは叶いませんでしたが天平の風景を取り戻しました。東西37メートル、南北23メート…

春日若宮おん祭 平成の終わりに/一年の無事を祝うかのよう。春日大社の若宮さまに御出座いただき感謝の念を伝えます。

春日大社の摂社として若宮神社は境内の奥に鎮座しています。若宮さまは特別の神さま。なにからなにまで別格の儀式が神妙に執り行われます。日をまたぐ16日から17日の真夜中、若宮さまお住まいの神社より世俗の片隅(御旅所)においでいただき、仮に造ら…

東大寺 かぎろひ/明け方、東の空からうっすらと明るく射してくる光。それを陽炎<かぎろひ>と言います。

東大寺となると参拝客や物見遊山の観光客でごった返していますが、初冬の東大寺の明け方は人っ子一人いない静かな風景が広がります。これぞ古代から変わらぬ景色かと思えるほどに真に迫ってくる気分です。曙光の清らかさはなににも代えがたい。震えるほどの…

長谷寺 貴族の衣擦れ/平安時代の貴族が観音さまに帰依してから大いに賑わいました。山岳寺院というより巨大な山荘のようです。

貴族的な匂いが立ちこめていて、霊場というよりも、宮廷の別荘が山のなかに造営されたという雰囲気を持っています。遠くに見える山の稜線も吹きわたる風も優雅に感じられて、平安貴族がそぞろ歩いた参道も散策路という方がにあっています。紫式部も清少納言…

東大寺 晩秋/木の葉はひらりひらりと舞いながら音もなく足もとへ。大仏殿、講堂跡、大仏池辺り、多彩な色模様です。

黄金色の銀杏も、朱色と紅のモミジの葉や桜の葉も、宗達の絵の具のたらしこみのよう。それでも奈良でもっとも美しく映えているのはナンキンハゼ。赤や黄の色が幾重にも重なって自然の織りなす微妙な色調が一本の木をバランスよく彩っています。繁殖力も強く…

大和八木/東西に1400年前の横大路。南北に1300年前の下ツ道。古代の道と古代の道が現代の道として交差しています。

この国最古の幹線道路が大和八木を貫いています。交差点近くの町並みは真空地帯のようです。1300年前の都だった平城宮の奈良ともなにかが違う。横大路も、下ツ道と呼ばれる中街道も、この辺りに限っていえば道を拡張されることがなく、いまもって現役で…

柳本 茶人有楽斎/戦国時代を生き抜いてきた織田有楽斎は運の強い男です。柳本から桜井一帯を家康よりもらい受けました。

有楽斎は織田信長の弟。本能寺の変の後、美濃へ逃げ、その後は豊臣家の大阪城に入りました。冬の陣、夏の陣で大阪城は落ちてしまいますが有楽斎は直前に城を離れまたもや生き延びました。関ヶ原の戦いで武勲を立てていたこともあって徳川家康は有楽斎を特別…

奈良公園 秋を歩く/物見遊山に黄、赤、深紅の木の葉。濃淡さまざまでうっとり。天高く人も肥えて・・・!

野分の風もおさまり、ぽかぽかとした小春日和の季節になりました。晴天に恵まれ紅葉もいよいよ。色とりどりの枝を差し交わしていて驚嘆するばかり。遠くの山も赤や黄色を折り重ねています。暖かい日が続くせいか、ちらほらと狂い咲きの花を見かけます。これ…

桧原神社 山辺の道/桧原神社は元伊勢と言い、伊勢神宮に祭祀されているアマテラスはもともとここにおわしたとか。

神々はさまざまなところへ降臨します。高木や巨石にはじまって家庭生活の道具にまで。木は神木となり、岩は磐座(いわくら)と呼ばれます。山を神のおわす場と見なし、山にあるすべてを神体とすることもあります。神は注連縄(しめなわ)や榊(さかき)によ…

飛火野 空/朝まだき。きっかり15分のパフォーマンス。目まぐるしく表情を変えていきます。

飛火野の空は日の出の頃がもっとも美しい。またたく間にかたちを変えながら、綿雲の上に筋雲や鱗雲。ほんの短い時間の出来事ですが、太陽がすっかり顔を出し切ると、それぞれの雲は溶け合うようにしていなくなり、いつもの平坦な空に戻ってしまいます。天空…

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