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奈良のアラカルト=ナラカルトは奈良の観察記録です。

元興寺/火渡り 二月三日の節分の日。厄を祓う儀式が豆まきに先立って執り行われました。

鬼は外、福は内。節分の決まり文句が聞こえてくると、寒さに縮こまりながらも、もうすぐ春だなぁと少しばかり口元もほころび柔らかな気持ちに包まれます。ところがなぜか元興寺では豆まきに先立ち、勇猛果敢な衣装を身にまとった山伏達が登場し火渡りの儀式…

三輪/そうめん 奈良時代から食されていた古代の麺。冬の北風が美味しく仕上げています。

大神神社(おおみわじんじゃ)の周辺に三輪そうめんの工場は点在しています。小麦粉はもとより、清らかな水、天然の塩、射し込む天日、そして身が縮むほどの北風が三輪そうめんを作り出します。生地を引き延ばして、さらに引き延ばして細い麺に仕上げる手延…

冬の興福寺/吹きすさぶ寒風に五重塔はどこ吹く風。古代と変わらぬ姿を見ていると歴史の中を散策している気分です。

興福寺は藤原家の菩提寺でした。古代のあるとき、藤原家は奈良の台地のほとんどすべてを我が物にしていました。その領地から納められる上納金の莫大さは想像に難くありません。いまもってこうして我らの目の前に権威がそびえ立っている。1300年前の出来…

平城宮跡と水上池/大きな空の下。ゆったりとした大地と鷹揚に構えた古代の池が連なっています。屈指の散歩道です。

古代を彷彿とさせる一帯に散歩道が縦横に引かれています。夏に得意になって飛び交っていたツバメもヒバリもいなくなっていましたが数種類の渡り鳥が横切っていきます。風が吹き抜けていけば寒さも一層厳しくなりますがそれに見合うだけの光景が眼前に広がり…

東大寺 二月堂/365日24時間、いかなる人にも開かれています。こんなお寺、ちょっとない。

いついかなる時でも祈る人を迎えてくれる二月堂。誰であろうと、どんな人であろうと。四方に顔のある十一面観音が本尊です。難しい話はともかく、何でもかんでも話を聞いてくれるという八面六臂の観音様です。お堂の回廊に佇めばもうそれだけで気持ちが落ち…

でんと構えた大仏さま。ひとり泰然自若として静かに新年を迎えています。格別の存在です。

新しい年を迎えました。 果たしてどんな年になるのか。祈る人々の顔には外連味のない表情が浮かんでいました。それぞれの願いは違っても大仏さまの大きな手がすべてを掬い上げていました。四の五の言わないおおらかさ。知らぬ間に口元がほころびてしまうのは…

奈良盆地/東西15㎞南北30㎞の別天地。6000年前の縄文時代前期は巨大な淡水湖でした。

奈良盆地は言わずと知れた古代の政治と文化の中心地でした。歴史家達はいろいろと推理を働かせ興味深い説を繰り広げています。紛れもなくこの国の中心地を置くにふさわしい魅力的な場所であったことを示唆するものです。遙か昔、大阪も巨大な内海だったよう…

春日若宮おん祭 大宿所/一年を締めくくるおん祭。前日に祭の無事を祈願する祭が執り行われます!

奈良町の真ん中を通り抜ける餅飯殿通(もちいどのどおり)は賑やかな商店街です。その通りの中程に「大宿所」(おおじゅくしょ)があります。この祭のためだけに存在するような場です。普段は人気もなくひっそりとしていますが、おん祭を迎える年末だけは華…

元興寺と奈良町/およそ700年前から境内は宅地化。400年前に現在の町割りが成立しました。

もともとは飛鳥にあった法興寺(現在の飛鳥寺)。平城遷都に伴い官寺として奈良にやって来ました。空海が起居し仏法を学んだ僧坊(現在の本堂+禅室)が残っています。土一揆の火災で大部分が消失し、寺域がぐんと小さくなってしまいましたがそれでも飛鳥時…

山辺の道/夜都伎神社。素朴の上にも素朴。飾り立てるものはなにもないのに威厳があって気高い。

古代びとは自然のさまざまな現象を神の働きであると考えました。風の音、雲のかたち、雷雲から落ちる稲妻などの自然現象を逐一読みとろうとしました。神は何をしようとしているのかと、耳をすまし、心を動かしたのです。すべては神聖なものでした。 黄昏/た…

高畑「志賀直哉旧居」。志賀直哉は引きつけられるようにして奈良に移り住んだ。 古美術をこよなく愛したという。

近代は高らかにラッパを吹き鳴らして始まりましたが、西洋からの怒濤のごとき近代文明の侵入に抗しきれず自分を見失いがちでした。自然は破壊され、日本文化が崩壊していく。小説の神様といわれた志賀直哉にしても同じことでした。苦悩は病的なほど膨らみき…

浮見堂。六角形のお堂が浮かび、ひとは水辺に憩う。鹿も物静かに佇んでいる。 水面には天平の空が浮かび上がってくる。

浮見堂は古いようで新しい。もともと大正時代に設置されたそうで、いまあるものは平成になって修復されたものだとか。それでもその形が昔のものゆえに、奈良の連綿として続く風景になじんでいます。鹿の鳴き声を聞くたびに静けさがきわだちます。 檜皮葺の浮…

円照寺。鳥は鳴き、葉さやぎて、特別なものはなにもない。静かに対座すれば静寂が聴こえる。すでに完結している。

円照寺は臨済宗の尼門跡。山門より先に立ち入ることはできませんが、禅者の歩く参道にはすでに本堂に連なる厳しさがあります。禅はどんなときでも自然とともにあるそうです。引き寄せることも、突き放すことも無縁。ありのままにいることで自然界の啓示を聴…

冬の奈良公園。いつ行っても、なんど訪れても、あたらしい。冷たい風が吹いても気持ちが熱くなる。

東大寺の南大門や興福寺の五重塔あたりから少し横にそれるだけで、そっと歩く我が身の靴音が聞こえるほどに静かさを感じることができます。これもまた冬の光景。そこらを独り占めできるような気分です。 なにもないようでなにかがある。土塀の向こうの風景や…

奈良町。ぶらりと歩けば古代も、中世も、近世も、そこここに。そんな中に現代がゆるりと踏ん張っている。

谷崎潤一郎は関東大震災のあと、古い文化の息づく大阪に住み着いてしまいました。奈良にもたびたび遊びに来ていたようです。一献かたむけるたびに、薄明かりの中の金屏風の揺らぎにはっとしたことでしょう。陰影礼賛の美を感じ取ったのも、きっと、そんな瞬…

飛鳥古京の時代、仏教が伝来。言霊の霊妙な働きによって国は成りたつと考えられた。このとき万葉集が立ち現れた。

政治文化の中心地となった飛鳥は中国の都をまねた景観を持ち、豪族の邸宅が建ち並んでいたという。庶民は奈良時代にあっても竪穴式住居で暮らしていたそうですが、都市生活者が初めて出現した時代となりました。 飛鳥、そのことばの響きは穏やかですが、蘇我…

古代豪族の群雄割拠した葛城。西の山辺の道といわれる古道が走る。とても深い。日本の原風景はここにある。

豪族たちの勢力は古社寺ばかりではなく、古代びとがさかんに行き来した道端にもひっそりと史跡が残っています。この国が日本になろうとしたときの胎動がありました。幹線としての道は今ではのどかな畦道となっていますが、ここにある田んぼはなにも変わるこ…

長岳寺は大和神社の神宮寺。となれば最古といわれる神社の神さまと長岳寺の仏さまは一体ということになる。

本地垂迹という日本独自の信仰の形態。八百万の神々はもともと仏さまたちだったというもの。仏さまが化身して日本に現れ、神々となって人々を救うという。神仏習合の特別な世界です。 空海が創建したと伝わる長岳寺ですが、明治の廃仏毀釈のときに危うく廃寺…

神は万物に宿るという。神頼みという。神も仏もないという。神さびるともいう。石上神宮、日本最古という説がある。

万葉の時代、生まれるというのと、現れるというのは同じ根を持つことばだったらしい。生まれるは、生る(ある)ということらしく、魂の現れをあらわしている。そして魂は生まれるものの、いずれ幽界へと移行していく。現代的にいえば死ぬということ。しかし…

平城宮跡のすぐ北に水上池。四季を通じて楽しめるとはいえ、冬の風景は詩情ゆたかで凍てつきさえ気分が良い。

ひょっとすると冬の奈良でもっとも変化に富んでいるかも知れません。朝日に映しだされた水面も、夕日に赤く染まる池畔も、ちょっと劇的です。たとえ曇っていても、まるで一枚の絵を観るよう。 渡り鳥が多くやってきます。冬ならではの賑わいです。(ヌートリ…

飛火野の初日の出。冷やっとしているものの、神々しい。古代と同じ光を射しただろうか。

神が降臨するという御蓋山。凍てつく東の空から白くて冷たい光を射してきます。神奈備(かんなび)の辺りだからでしょうか、空の色は赤みを帯びたり、青みがかったり。 なぜか鹿たちもそわそわしていました。終いにはなにかを感じたらしく、いっせいに小躍り…

国を救うために、守るために建立された東大寺の大仏殿。泰然自若とした微笑で新年を迎えている。

見慣れているはずの大仏さまなのに、その大きさに圧倒されてしまいます。些細なことなど、どこへやら。天晴れあっぱれ。 傍に佇むだけで、心穏やかになっていきます。手を合わせる人だれもが安堵の顔。大仏殿の中には大きな宇宙がありました。 特別としか言…

奈良公園という豊かな自然界。冬ともなれば渡り鳥も飛来して枯木もにぎやかに揺れている。

奈良公園を少し歩くだけで、都会ではなかなかお目にかかれない鳥に会うことができます。奈良盆地が原生林や田園に囲まれているせいかもしれません。初めて耳にする鳴き声もたびたび聞こえてきます。 珍しい鳥もいるようですが、そういう鳥に限ってすばしこく…

古代の奈良は難波や堺に連なっていた。となれば1300年前の大阪は奈良そのもの。さて、さて、はたして・・・。

厩戸皇子、つまり聖徳太子が初めて建てた寺院が四天王寺。法隆寺よりも古く、日本最古の官寺であるとか。紆余曲折があったにせよ、ここにこうして元気でその威容を誇っています。感慨深いものがあります。 難波は国際港でした。川は重要な大動脈でした。もち…

おん祭は、正式には春日若宮おん祭と言うそうな。1100年以上続いている。1年の締めくくりの大きな祭です。

大和の春は大和神社のちゃんちゃん祭りから始まり、春日大社のおん祭でその年をめでたく終えるそうです。若宮さまと呼ばれる神さまの労をねぎらい、感謝の気持ちを込めてさまざまな供物と芸能を奉納します。 奈良でもっとも大掛かりな祭です。厳粛さもあれば…

157の支流を持つという大和川。飛鳥時代には大陸の文明を運び、この国の礎を築いた。しかしながら、しかしながら。

奈良盆地を取り巻く山々から流れ出した一滴の水がやがては一つになり、大阪湾へと向かう大和川となっています。古代、この水の道を利用して大陸からさまざまなものが流入しました。 大和川があって初めて文明と文化が開花しました。ところが近代になって粗末…

飛鳥古京の時代、仏教が伝来し、古代の神々と一体になりながら国のかたちを整えた。文明の槌音が聞こえる。

政治文化の中心地となった飛鳥は中国の都をまねた景観を持ち、豪族の邸宅が建ち並んでいたといいます。庶民は奈良時代にあっても竪穴式住居で暮らしていたそうですが、都市生活者が初めて出現した時代となりました。 飛鳥、そのことばの響きは穏やかですが、…

佐紀の古墳群。古代が現代に生存していると言ってしまえば大袈裟か。それでも遠い昔の風景がぐっと迫ってくる。

古墳は神聖な場所ゆえ、原生林に似て手つかずの自然が残されました。鳥の鳴き声かまびすしく、のびやかな土盛りの起伏と満々と水をたたえた堀を見ていると古代の景色が胸のうちに広がっていきます。 信仰の強さを思わずにはいられませんが、風にも雨にも聖な…

ほら、ごらん、奈良公園のかぎろひ。天が広々しているから、なにごとかが始まる予感を抱かせてくれる。

晴れ渡った朝はどこにいても気持ちを清らかにしてくれますが、奈良町の、東に広がる飛火野あたりは格別です。背後にシルエットになって連なっている山にはありのままの原生林が含まれています。隣接する御蓋山(みかさやま)は神奈備(かむなび)といって神…

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