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nalacarte

奈良のアラカルト=ナラカルトは奈良の観察記録です。

高畑「志賀直哉旧居」。志賀直哉は引きつけられるようにして奈良に移り住んだ。 古美術をこよなく愛したという。

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近代は高らかにラッパを吹き鳴らして始まりましたが、西洋からの怒濤のごとき近代文明の侵入に抗しきれず自分を見失いがちでした。自然は破壊され、日本文化が崩壊していく。小説の神様といわれた志賀直哉にしても同じことでした。苦悩は病的なほど膨らみきったようですが、それでも奈良に居住することによって大作を仕上げてみせました。

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仏像はいうに及ばず一級の文化財が奈良の自然の中に溶け込むようにしてあります。高畑は春日大社の神官たちの住まいがあった社家町でした。町そのものが美術品の連なりのように見えて静謐さが取りまいています。こころを解き放つ風が春日山の原始林から吹きわたり、志賀直哉が思索にふけっていた姿が偲ばれます。

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数寄屋造りが基調とはいえ、洋風のアイデアが随所にちりばめられています。サンルームしかり、キッチンしかり。過ぎることなく、不足することなく。豊かでありながら、華美に流れることなく。生きることに正面から挑んだ小説家の端正な文脈を見て取ることができます。

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茶室としての創意に満ちた天井や柱も見応えがありますが、外回りに配置した板の庇は平城宮跡から発掘された1300年前の様式とほぼ同じ。古いかたちにもかかわらず新しい。高畑サロンと呼ばれた志賀邸、美は大きなテーマの一つだったはずです。

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