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奈良のアラカルト=ナラカルトは奈良の観察記録です。

暗峠(くらがりとうげ)/最後の旅となった芭蕉の足跡を追って

南北に細長くのびる生駒山の真ん中あたりの低いところが暗峠。奈良と大阪を結ぶ山越えの近道が走っています。

大阪へ向かう道すがら伸びやかな棚田が広がります。ところどころ風雨に洗われて少しのっぺりしてしまった地蔵が迎えてくれます。元禄時代からなにも変わっていないと思われるいかにも古めかしい情景が谷間にありました。

 

重陽の季節、奈良で宿泊した芭蕉は大阪へ向かいました。弟子の諍いの調停のためでした。菊の節句ともいわれ、芭蕉はしみじみと花に感じ入っていたといいます。奈良町では「菊の香や奈良には古き仏たち」と詠み、暗峠では「菊の香やくらがり登る節句かな」と遺しています。

足の運びが遅くなったとき芭蕉は後ろをいくども振り返り、小さくなっていく奈良の町並みとその向こうの故郷伊賀を眺めたことでしょう。

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峠を越えると切り立ったような坂が続きます。転がるように下っていくと、ほどなくして木立の間に大阪の街並みが現れます。そこが終焉の地となりました。

辞世を「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」と詠みました。

 

このとき芭蕉の胸のうちには暗峠からの眺めが去来したかもしれません。

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